私の介護の先生は、利用者さんでした
徳丸です。
介護保険制度が始まって間もない頃、
私は訪問介護の仕事を始めました。
資格は持っていました。
でも、訪問介護の現場で教えてくれる先輩ヘルパーが、
身近にはいませんでした。
今思えば、私の「先生」は、
利用者さんだったのだと思います。
包丁の持ち方。
野菜の切り方。
はたきのかけ方。
雑巾のかけ方。
「洗濯物は、こうやって干すのよ」
そんなふうに、いろいろなことを教えていただきました。
今では、はたきを使うお宅も、
ほとんど見かけなくなりましたね😊
掃除機のかけ方を教えてくださった方もいました。
特に畳の上では、畳の目に沿ってかけるの。
掃除機は引きずってはいけない。
「畳を傷めるからね」
そんなことを教えていただいたのを、
今でも覚えています。
先日、ヘルパーさんの同行で掃除機をかけている様子を見て、
ふと、そのことを思い出しました。
「あぁ、そうだったなぁ」と。
その時、私は介護の技術だけを教えてもらっていたわけではなかったのだと思います。
その人が長年暮らしてきた中で身につけた、
「我が家ではこうする」
という暮らしの知恵を、教えてもらっていたのです。
昔は今よりも、介護の提供時間が長く、
利用者さんとゆっくりお話しする時間もありました。
今はもうお会いすることのできない利用者さんもたくさんいます。
それでも、あの時教えていただいたことは、
20年以上経った今も私の中に残っています。
そう考えると、私の介護の土台は、
資格や研修だけで作られたものではないのかもしれません。
たくさんの利用者さんから、少しずつ教えていただいたこと。
それが積み重なって、今の私を作ってくれたのだと思います。
そして、私もいつか、
誰かがふと思い出してくれるようなものを、
この仕事の中で残せたらいいなと思います。
「あの時、こんなこと教えてもらったな」
そんなふうに、ほんの小さなことでいい。
それが誰かの中に残っていたら、
二十数年この仕事を続けてきたことも、
ちょっと素敵なことなのかもしれません。😊

