生活サポートサービスが果たす、支援への橋渡し

アームス日記

 

【生活サポートサービスの現場から】

~一人暮らしのお父さまを想う気持ちに寄り添って~

アームス在宅支援センターのホームページをご覧になったご家族から、
あるご相談をいただきました。

「一人で暮らしている父親が、お酒におぼれたような生活を送っていて心配。でも、自分は仕事をしているため、頻繁には様子を見に行けません。以前、役所にヘルパーサービスを相談したのですが、公的サービスの対象にはならないと言われました。とにかく今が心配で…お願いできないでしょうか?」

このようなご相談を受け、ご家族とメールでやり取りをし、事前にご本人にも私たちが訪問することを伝えていただいたうえで、さっそく初回の訪問(実態調査)に向かいました。


私たちアームスが提供する「生活サポートサービス」は、完全に自費のサービスです。

通常はケアマネジャーや相談支援専門員などからの依頼でサービスを行いますが、
生活サポートサービスは、公的な枠に入る前の段階でも利用可能な“ビジネスとしての支援”です。

さて、高齢の方のひとり暮らしの家を訪ねるのは、毎回緊張します。

突然の訪問に警戒されてしまうことも少なくありません。

「今回も、まずは拒否されるかもね」と話しながら、玄関のチャイムを鳴らすと…
なんと、すぐにドアが開き、すんなりと中へ入れていただけました。

最初は戸惑いの表情をされていましたが、「息子さまからご依頼を受けてお伺いしました」
と伝えると、「ああ、○○(息子さんの名前)からか」と表情が和らぎました。

「まだいいよ、そういうのは。自分でできるから」とおっしゃりながらも、
「今日はゴミをまとめていきますね」「紙ごみは、個人情報が心配でしょうから専門業者に依頼して処分しますよ」「アームスはそういう業者と提携していますのでご安心ください」と伝えると、
「そうなんだ、助かります。ありがとう」と返してくださり、無事に初回訪問を終えました。


二回目の訪問もやはり、「まだそういうのはいいよ」とおっしゃいましたが、「息子さまからご依頼いただいています」と再び伝えると、「○○から? そうか。ところでおたく、どこから来てるの?」と話が少しずつ広がります。

「瀬谷からです」と答えると、「瀬谷?Dマート知ってる?」「はい、知っていますよ」「まだあるの?」「今はco-opの宅配サービスになっていますよ」「へー、そうなんだ」と、地域の話題に花が咲き、少しずつ心の距離も縮まっていきました。

毎回「まだいいよ」と言いながらも、ご本人のお宅では、整理整頓や食器洗い、
冷蔵庫の中のチェックなどをさせていただきました。


三度目の訪問では、ついにご依頼者である息子様とお会いすることができました。

「ただただ、父が心配なんです」と語る息子さま。

一方、ご本人は「自分はまだ大丈夫」と頑なな姿勢を見せています。

それでも、お互いの気持ちはしっかりと尊重されていると感じました。

そんな中、息子様がふとつぶやいたひと言が印象に残っています。

「ダメだよ。親父が酔っ払って、とんでもない醜態をさらしてるのなんて見たくないんだよ」

年老いた親の変化を見守るつらさと、心配しながらも遠くから支えるもどかしさ。

その気持ちは痛いほど伝わってきました。

そして、ご本人にも「息子には心配をかけたくない」という思いがしっかりとありました。


何度か訪問を重ねる中で、ご本人も私たちの存在を受け入れてくださるようになりました。

しかしその頃には、ADL(日常生活動作)の低下が目立ち、尿失禁の症状も見られるようになっていました。

「リハビリパンツを使ってみませんか?」とお声がけしても、
やはり最初は「大丈夫」と。

ここで、ヘルパーの優しい伝え方が生きました。

「そう? 最近、漏れちゃうんだよ」と、少しずつ本音がこぼれるようになりました。

皮膚の状態もあまり良くなかったため、「今日はお風呂に入りましょうか」とお誘いし、ゆっくりと入浴していただくと、

「風呂はいいね、さっぱりした」と、穏やかな表情を見せてくださいました。


私たちは地域包括支援センターとも連絡を取り合い、
ようやく病院受診につなげることができました。

ご本人が納得されるよう丁寧に理由をお話しし、受診には時間を要しましたが、地域の診療所で長時間待った末、診察を受けていただくことができました。

診療所の先生は、ご本人の状態をすぐに把握し、必要な支援内容を的確に判断。

その場で処方箋と主治医の意見書を作成してくださいました。

思っていたよりも良いスピードで、次のステップへ進むことができました。


やがて、このケースは公的サービスへとつながっていきます

ですが、その橋渡しを担ったのは、アームス生活サポートサービスでした。

「まだいいよ」と言っていたご本人が、少しずつ支援を受け入れ、やがて必要な医療や介護サービスにたどり着く。

“自費”だからこそできる柔軟な対応と、

“顔の見える関わり”を大切にする姿勢が、

公的な支援の前段階をしっかりと支えるのです。

これからもアームス在宅支援センターは、

ご本人とご家族の思いに寄り添いながら、

地域の安心を支えてまいります。

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