放課後等デイサービスにおける「児童指導員等加配加算」とは

アームス日記

〜人員体制の強化と報酬制度の関係を徹底解説〜

放課後等デイサービスの運営において、加算制度の正しい理解が事業運営に必要です。
「基本報酬」に、上乗せして算定できる「加算」は、事業所の質と安定を支える大きな柱です。
「児童指導員等加配加算」は、現場における人員体制の強化、支援の質の向上を目的とした制度であり、実際に取得しているか否かが、支援のあり方そのものに大きく関わってきます。

このブログでは、事業所運営者、管理者、児発管、現場スタッフに向けて、加配加算の制度的要件、実務での運用、記録・請求に至るまで、わかりやすく解説します。

「児童指導員等加配加算」とは何か

「児童指導員等加配加算」は、厚生労働省の定める障害児通所支援の報酬制度に基づく加算であり、基準人員数を上回る児童指導員または保育士等を配置することで算定可能となる制度です。

  • 法定人員基準:最低限必要な職員数(例:定員10名で2名)
  • 加配加算対象:この基準を超えて有資格職員を配置した部分に対して、
    一定単位が加算される

〇加配=「加えて配置する」こと
     この加算は人件費の一部を補完する制度でもあり、人的体制を整えながら、
     サービスの安定を図るための重要な加算と言えます。

加配加算の算定要件

この加算を取得するためには、以下の要件すべてを満たす必要があります。

① 基準人員数を超えて配置していること
児童指導員または保育士を、国が定める人員配置基準(定員に応じた最低数)を超えて配置している必要があります。

② 加配職員は資格要件を満たしていること
加配としてカウントできるのは、下記いずれかの有資格者に限られます。

・児童指導員(任用資格含む)

・保育士

その他厚労省が認める専門職(場合により)

無資格者や学生アルバイトなどは対象外となります。

③ 週32時間以上の勤務(常勤換算1.0以上)
加配加算として算定できるには、対象職員の勤務時間が週32時間以上である必要があります。

「常勤換算」の考え方については以下のようになります。

 週40時間労働が基本

 週32時間以上を「常勤相当(1.0)」と見なす

 週16時間勤務は「0.5換算」

ただし加配加算においては「0.5人配置」では対象外、1.0以上の勤務時間が必要です。

具体的な算定単位と報酬額(2024年度報酬改定時点)

※地域・報酬区分(Ⅰ型・Ⅱ型)によって若干の差があります。
 ここでは標準的な単位を紹介します。

  • 加配加算Ⅰ(常勤職員1人超過配置):約87単位/日
  • 加配加算Ⅱ(上記に加え、非常勤職員0.5人相当超過):約43単位/日
  • ※1単位=10円前後(地域区分による)

これらの単位数は、1日ごと・利用者数に関係なく固定で加算されるため、継続的に取得できれば収益の安定につながります。

実地指導でのチェックポイント

加配加算を取得している事業所は、実地指導において以下の点が厳密に確認されます。

・加配職員の資格証の確認
→ 任用資格・保育士登録証・資格証などの写しの保管必須

・勤務実績の確認
→ タイムカード、シフト表、業務記録によって週32時間以上勤務していることが確認できること

・配置基準を上回っているか
→ 各日の職員数・児童数の記録と照合して、「基準超過」である日数が明確になっているか

・専従要件の確認
→ 他の事業所と兼務していないか、他のサービス提供時間と重複していないか

よくある誤解と運用上の注意点

「とにかく人数を増やせばよい」はNG
 人数が増えても、加算要件(資格・勤務時間)を満たしていなければ意味がありません。

「非常勤でも1日8時間入れば対象」ではない
 非常勤は通算して32時間以上かつ継続勤務が求められるため、単発では対象外。

「休校日対応だけ」の職員は対象外
  加配は日常的配置が前提。特定日だけ勤務する人材は加配加算の対象とはみなされません。

勤務体制の設計と加配の活かし方

加配加算を最大限活用するには、職員の勤務時間を「常勤換算1.0」に満たすよう調整し、月間を通じて安定的な超過配置を維持することが重要です。

● 勤務時間例(常勤換算)
◦放課後
・ 職員A(常勤専従)      週5日×6.4時間=32時間 
・ 職員B(非常勤兼務)  週5日×4時間=20時間 
・ 職員C(非常勤兼務)  週3日×4時間=12時間 
◦休校日
・ 職員A(常勤専従)      週4日×8時間=32時間 
・ 職員B(非常勤兼務)  週5日×4時間=20時間 
・ 職員C(非常勤兼務)  週3日×4時間=12時間

こうした勤務設計を行う際は、サービス提供時間、タイムスケジュール、
他の加算との兼ね合いを見ながら調整することが大切です。

実務での記録・請求上の注意点

● 加配職員のシフト表は「時間帯」まで明記
    支援記録と紐づけて、誰が何時から何時まで支援していたか分かるように

● サービス提供実績記録票と連動
     実際にサービスを提供していた日=加算算定日となる。欠勤・休業日は除外する

● 児童の出席率に応じて柔軟な配置を
    利用児童が少ない日にも過剰に人員を配置すると、コスト効率が落ちる可能性もある。

他加算との組み合わせ運用

児童指導員等加配加算は、以下の加算と併用することで、支援体制全体を強化できます。

家庭連携加算:職員数に余裕があることで面談や訪問が行いやすくなる

看護職員配置加算:医療的ケア児への対応が充実

専門的支援体制加算:加配職員に専門職を含めれば対応可能

加配は単独で完結するのではなく、加算設計全体の中で相乗効果を発揮させることが可能です。
加配がもたらす支援現場への効果加配加算は、単なる「人手の補強」ではなく、現場において以下のような効果を生み出します。

支援の質の向上

管理者・児発管の業務分散が可能に

職員定着率の向上(無理、無駄のない配置)

まとめ:加配加算は制度活用と現場改善の両輪

児童指導員等加配加算は、報酬制度上の加算項目であると同時に、
事業所のより良い支援環境を築き上げるスタッフの姿勢が全てです。

取得のためには、的確な人材配置・勤務設計・記録整備が必要ですが、その分、現場にとっても利用者にとっても大きなメリットがあります。

制度の趣旨を正しく理解し、加配加算を支援の質と職員体制の充実を図る“戦略”として活用する視点が重要です。

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