こんにちは 徳丸です。
今回は 皆さん自然と実践されていると思いますが
ユマニチュードについて
お話しさせて頂きます。
ユマニチュード(Humanitude)は、
フランスで生まれた「人間らしさ(humanité)」を
大切にするケアの技法です。
特に認知症の方や介護が必要な高齢者との関わりにおいて、
その人の尊厳を守りながら信頼関係を築き、
「ケアを受け入れてもらう」
ための関わり方が体系化されています。
🌱ユマニチュードの基本4つの柱(実践の鍵)
ユマニチュードの実践では、
「4つの柱」
と呼ばれる基本動作を丁寧に組み立ててケアを行います。
1. 【見る】―目を見る・目線を合わせる
•相手の目をしっかり見て、
「あなたに関心を持っていますよ」と伝える。
•上から見下ろすのではなく、
視線を合わせる高さまでしゃがむ。
•表情も大切。
優しい笑顔で、安心感を与えます。
🔸実践例:
認知症の方が不安そうな時、
正面から視線を合わせて
「おはようございます。よく眠れましたか?」
と穏やかに声をかける。
2. 【話す】―優しく、ポジティブな言葉をかけ続ける
•相手の気持ちを否定せず、
安心できる言葉をたくさん使います。
•沈黙しないことも大事。
ケア中ずっと声をかけ続けることで、
「置き去りにされていない」と感じてもらえます。
🔸実践例:
オムツ交換中も、
「寒くないですか?」
「もう少しで終わりますよ」
「肌が綺麗ですね」など、
相手に語りかけながら行う。
3. 【触れる】―優しい触れ方・手のひらで包むように
•いきなり背中や腕を掴むのではなく、
手のひらと手のひらを合わせてから触れる。
•触れられた瞬間に驚かせないよう、声かけとセットで。
🔸実践例:
「これからお背中を拭きますね」
と声をかけてから、そっと手のひらを当てる。
掴むのではなく「包む」ようなイメージ。
4. 【立つ】―できるだけ自分の力で立つ機会を大切に
•立つという動作は
「人としての尊厳」と結びついています。
•自分で立てることは、
筋力の維持・自己肯定感の維持にもつながります。
🔸実践例:
トイレ誘導の際、
「一緒に立ちましょう」
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
と声をかけて、できる範囲で立つ動作を促す。
🧭ケアの5つのステップ(流れ)
ユマニチュードは「一つ一つのケア行為に意味を持たせる」ことを大切にしており、以下の流れで組み立てます:
1.予告:「今から○○しますね」と声をかけて準備
2.受け入れてもらう:見る・話す・触れるで信頼関係を築く
3.実際のケア:常に語りかけながら丁寧に行う
4.再結び:ケアが終わったことを伝え、「ありがとう」などで締める
5.次の出会いの約束:「また来ますね」「次は⚪︎⚪︎に来ます」と安心感を与える
🌼現場でのちょっとしたコツ(私のおすすめ)
•利用者さんが「拒否」した時ほど、ユマニチュードの出番。
•拒否されたからといってすぐ引き下がらず、
「あなたの思いを尊重しながら、でもケアは必要なんです」と伝えること。
•「〇〇さんにとって、快適であるようにしたいんです」
という想いを込めて接すると、言葉を超えた信頼が築かれます。
「ユマニチュード」ってなあに?
〜Sさんとの出会いが教えてくれたこと〜
🟢 はじめに:「拒否」の向こうにあるもの
訪問介護の現場では、
「お風呂?入らないよ」「触らないで」と
拒否される場面に出くわすことがあります。
そんな時、どうやって信頼を築いていくか——
これは、介護職にとって永遠のテーマかもしれません。
私自身、過去にある出会いをきっかけに
「ユマニチュード」というケアの考え方に出会い、
「あのときの関わり方は、まさにこれだったのかも」
と気づかされました。
🟢 Sさんとの出会い
私がまだユマニチュードという言葉を知らなかった頃、
Sさんの訪問に伺いました。
ご家族の悩みは、
「まったくお風呂に入ってくれない」ということ。
初めてお会いしたSさんは、
寡黙で威厳のある方でした。
かつては“固いお仕事”に就かれていたそうで、
ご自身の人生に強い誇りをお持ちのようでした。
私はすぐに入浴をすすめるのではなく、
Sさんの過去のお仕事の話をゆっくりとお聞きしました。
するとその後、何事もなかったかのように、
すんなりお風呂に入ってくださったのです。
それからというもの、
毎回訪問のたびに、お仕事の話をたっぷり伺い、
それが終わると自然と入浴。
私は特に何もしていないのですが、
ただ「そうなんですね」「すごいですね」と
気持ちよくお話を聞いていただけ。
それだけのことなのに、
Sさんは毎回気持ちよくお風呂に入ってくださり、
ご家族からも
「まさかこんなに入ってくれるようになるなんて」と、
驚きと喜びの声をいただきました。
今思えば、これはまさにユマニチュードの基本に沿った
関わり方だったのかもしれません。
🟢 おわりに:やさしさは“技術”にできる
ユマニチュードは、特別な資格が必要なわけではありません。
でも、「相手を大切に思う気持ち」と
「丁寧な関わり方」があって初めて、
ほんとうに届くケアになるのだと思います。
Sさんとの出会いは、
私にとって今も忘れられない宝物です。
そしてこれからも、関わるすべての方に
「その人らしさ」を大切にしたケアを
届けていきたいと思っています。
長くなりました文章
最後まで読んで頂きありがとうございました。