◆あの日のあなたへ
初めての訪問先。
ピンポンを押す手が、少し震えていた。
私にも、そんな日がありました。
笑顔でいなきゃと思っても、
顔がこわばっていたり、
言葉に詰まってしまったり、
帰り道で「あぁ〜…失敗した」と
自己嫌悪になったり。
そんな自分を、
何度も責めそうになりました。
でも今だから言えるのは——
「その“ざわざわした気持ち”、悪くないよ」
ってことです。
◆ “心のざわざわ”は悪者じゃない
感情って、コントロールしようと思うと、
余計に暴れ出すことがあります。
イライラ、焦り、不安…。
どれも本当は、
あなたが真剣に向き合っている証なんです。
だから私はあるときから、
「感情を抑える」のではなく、
「感情に寄り添う」ことにしました。
◆ 私が試している「心のオウム返し」
例えば、
利用者さんにキツイ言い方をされたとき。
昔の私は
「なんでそんな言い方するの…」
「もっと優しい言い方はないの…」
と内心モヤモヤ。
でも今は、
心の中でこうつぶやいています。
「今、私は“悲しかった”って感じてる」
「ちょっと傷ついた。
だからざわざわしてるんだな」
つまり……
自分の気持ちをオウム返しするんです。
「イラっとした自分を否定しない」って、
案外、大事です。
そのあとに余裕があれば、
利用者さんの立場にも目を向けてみます。
「もしかして今日は、しんどいのかもしれない」
「この人も、誰かにぶつけたくなる
ほど苦しいのかもしれない」
不思議なことに、
気持ちが少し柔らかくなるんですよね。
◆ ちょっと笑えた、Rちゃんとの一場面
ツンデレ(というか女王様)なRちゃんに、
ある日こう言われました。
R「アンタ、今日なんか…髪、チクチクしてない?」
私「え?……チクチク…?(泣)」
髪型の変化にも容赦ない。
でもそんなRちゃん、湯船に入ると、
ほんの少し声が優しくなるんです。
R「ふぅー……」
私「(あ、気持ちいいんだ)」
R「……ありがとうって言っといたるわ」
(多分……)
たった一言で、
心のざわざわが、
スーッと溶けていくこともあります。
◆ その感情は、あなたが真剣に向き合っている証拠
介護の仕事って、
感情を置き去りにできない仕事です。
でも、感情を感じながら、
それでも向き合っているあなただからこそ、
きっと誰かの支えになれる。
もし今日、
心がざわざわしていたなら、
その気持ちを
「よくやってるね」と、
そっと抱きしめてあげてくださいね。
徳丸でした。