放課後等デイサービス送迎加算

アームス日記

                         放課後等デイサービスにおける送迎加算とは
                

放課後等デイサービスを利用する児童や保護者にとって、送迎は大切な支援のひとつです。
学校や自宅等から事業所まで安全に送り届けてもらえることは、児童、保護者が安心してサービスを利用できる大前提となります。
その送迎にかかるコストを補うために設けられているのが 送迎加算 です。

しかし、送迎加算は「送迎していれば誰でも取れる」というものではありません。
算定要件や注意点を正しく理解し、日常の送迎業務に反映させることが必要です。
送迎加算の仕組みや算定要件、実務上のポイントについて、分かりやすく解説します。

送迎加算とは?制度の位置づけ

放課後等デイサービスは、
障がいのある子どもが放課後や長期休暇に利用する福祉サービスです。
子どもたちは事業所まで自力で通うのが難しい場合も多く、送迎を必要とする家庭が多くあります。
現に初めて放課後等デイサービスを利用を希望する依頼があった際、役所のワーカーさんや保護者から「送迎はありますか?」と問い合わせがあることも少なくありません。
そのくらい当たり前のことでは無いのです。
そこで、子どもを安全に送り迎えするために発生する車両費や人件費を補填するために設定されているのが「送迎加算」です。

基本的な考え方

・送迎は保護者の負担を大きく減らす
・子どもにとっても安全・安心を確保できる
・事業所が責任を持って送迎することを前提に加算される
 つまり送迎加算は「サービスの付加価値」ではなく、
 利用者の生活に直結する必須の支援を支える仕組みなのです。

送迎の役割と保護者ニーズ

送迎は単なる移動ではありません。
保護者や子どもにとっては以下のようなメリットがあります。
 ・学校や自宅等から直接事業所へ移動できる
 ・送迎の時間に合わせて保護者が仕事や家事等を調整
 ・重度障がい児や発達障がい児にとって、安全に通所できる環境が確保される
  特に共働き家庭やひとり親家庭にとって、
  送迎の有無は放課後等デイサービス事業所を探す上で大きな選択肢となります。

送迎加算の算定要件

送迎加算を算定するためには、いくつかの明確な条件があります。
・送迎を事業所が責任を持って行うこと
・車両が適切に管理されていること
 車検、点検、整備等
・保険加入済みであること
 任意保険、自賠責保険ともに必須
・運転者が適切な資格を持っていること
・普通自動車運転免許が基本。無免許運転や不適切な人員配置は当然NG。
・運行記録を残していること
 送迎ルートや利用者名、運転者名を記録し、実地指導に備える必要があります。

車両管理の重要性

送迎加算を算定する事業所にとって、車両管理は非常に重要です。
・車検の点検
・車両管理簿が残されているか
 こうした点は、実地指導でも厳しく確認されます。

保険加入と安全確保

送迎加算における保険は必須です。
自賠責保険(強制保険)
任意保険(対人・対物・車両・搭乗者補償)
さらに、送迎は子どもを乗せるため、通常よりもリスクが高くなります。
対人無制限・対物無制限の契約にしておくことが望ましいです。

実地指導でチェックされるポイント

行政による実地指導では、送迎について以下が確認されます。
・車両の車検証・任意保険証の写し
・運行記録簿
・職員の免許証の確認状況
・送迎ルートや利用者ごとの対応状況

車両の利用目的が適切か(私用利用がないか)

車両が休日に職員の私的利用に使われていることが発覚すれば、送迎加算の信頼性まで疑われるため大きな問題となります。

送迎に関わる職員の体制

送迎加算を算定するには人員体制も重要です。
利用者の状態によっては添乗員が必要
車内での安全管理(シートベルト確認、車内忘れ物チェックなど)
送迎加算に関する実務上の注意点
送迎ルートは記録に残す
自家用車を送迎に使う場合の保険契約の確認
保護者送迎との区別を明確にする
キャンセルや送迎中止時も記録を残す

よくある誤解・トラブル例

・送迎しているから自動的に加算できる → 条件を満たしていなければ不可
・車両は名義だけ事業所で、実質私用もOK → 実地指導で不正とみなされる
・短距離送迎だから記録はいらない → 短距離でも記録は必須

送迎加算を活用するメリット

・送迎加算を適切に算定することで、車両維持費の一部を賄える
・職員の人件費を補える
・保護者の安心感につながる
・事業所の信頼性を高める

まとめ

放課後等デイサービスにおける送迎加算は、子どもたちの安全と保護者の安心を
支える制度です。
しかし、算定するには車両管理、保険加入、運行記録、職員体制といった
厳格な要件があります。
特に注意すべきは、休日や業務外に社用車を私的に利用しないことです。
これは保険・税務・監査のすべてで問題となり、送迎加算の適正性まで疑われます。
送迎加算は「事業所の収入」ではなく「子どもの安全を守るための責任」を
裏付けるものです。
事業所は正しく理解し、ルールに基づいて運用することで、安心して利用できる送迎体制を整えていくことが求められます。
                                                                                       

タイトルとURLをコピーしました