制度の壁にぶつかる時 〜それでも、心は味方でいたい〜

ARM’S ぶろぐ

                                       こんにちは 徳丸です。                         

最近、利用者さん宅に訪問していて

「それもダメなの?」            

「前はやってくれたのに…」

「あれもダメ、これもダメって一体何が頼めるの?」と、

                                       ちょっと残念そうに言われることが続いています。

 

正直に言いますね。            

 

あれ、地味に…いや、かなり心にチクッと刺さるんです。

頼まれたこと、できることならお応えしたいんです。

でも私たちの仕事は、

                                                                            【介護保険】【障害福祉】                          

という“決まりの中”で動いています。

しかも、その費用の9割は公費。(大半の方)

つまり税金でまかなわれているので、

国が定めたルール=法律には、どうしても逆らえません。

例えば…

• 「ベランダの片付け、お願いできる?」

• 「玄関先の落ち葉、ついでに掃いてくれる?」

• 「同居の息子の部屋も、ちょっとだけでいいからお掃除してくれない?」

こうしたご依頼、内容としては難しくないんです。

やろうと思えば、できること。

だからこそ悩ましい。

でも、これらは介護保険のサービスの対象外。

利用者本人の生活に直接関係する範囲のみが支援の対象とされています。

そして、実はもっと断りづらいのが、キッチンやトイレの掃除です。

息子さんの部屋は、「それはご本人のスペースではないので…」と、

比較的説明しやすいんですが…

キッチンやトイレって、ご本人も使うし、ご家族も使う。

つまり、**“共用スペース”**なんですよね。

この“グレーゾーン”に、私たちは日々悩まされます。

「ここまではOK?」

「これは“ご本人の分”として対応できる?」

…と、自分の中で小さな会議を開くこともしょっちゅうです(笑)

 

それでも、やはりルールを守る必要があるときは、

申し訳ない気持ちを込めて、こんなふうにお伝えしています。

「ご本人の生活に必要な範囲での支援は可能なのですが、

共用部分を“全体的に”掃除することは、制度上お受けできないんです。

ごめんなさい。」…と。

「できません」と伝えるのは、とても難しい。

それでも、私はこう思っています。

断る=突き放す、ではない。

断るけれど、心は寄り添いたい。

たとえば、こう伝えます。

 

「お気持ち、よくわかります。

ついでに…って言いたくなるのも、本当によく分かるんです。」

「でも、介護保険のルールで、できること・できないことが決まっていまして…」

「本当にごめんなさい。お力になりたい気持ちはあるんですが、

今回のおはなしは難しいんです。」

気持ちをまず受け止めてからお断りする。

ほんの少しでも、その温度が伝われば…と願っています。

ルールは変えられない。

でも、**“伝え方”と“思いの届け方”**は変えられる。

介護の仕事は、人と人との信頼の上に成り立っています。

だからこそ、きちんとお断りすることも、

大切な支援の一つなんだと考えています。

 

制度に縛られながらも、心は自由でありたい。

そんな気持ちで、今日も私は、玄関のチャイムを鳴らしています。

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